化粧品を販売するのに許可は必要?OEM導入で押さえておきたいポイントも解説
2024/06/21スタートアップとして化粧品販売を始めてみたい、あるいは新たな事業として化粧品を展開してみ…
OEMとはOriginal Equipment Manufacturerの略称で、OEM商品とは製造業者が自社のブランドではなく、他社のブランドや仕様に基づいて製造する商品のことを指します。日頃何気なく手に取っているような日用品から、自動車や大型家電のような高価格帯の製品まで、今やOEM製品は生活に深く根差しています。ここでは、そういったOEM商品を”製造する側“の見地を中心にご説明していきたいと思います。
前述の通り、OEM商品は日常のあらゆる分野の商品開発において活用されています。
では、なぜここまで一般的に浸透してきているのでしょうか。
当然理由は幾つもありますが、その最たるは”依頼者“のメリットが非常に大きいからに他なりません。
一つの商品を立ち上げるには非常に多くの費用・労働力が必要となります。
商品に対する知見はもちろん、製造する為の工場設備や資材調達、またその前段階での様々な手続きなど、これを自社だけでクリアしていくのは、なかなかに至難の業です。
それを纏めて解決できるのがOEMという手法にほかなりません。
では、ここでOEMという手法について、もう少し深く掘り下げていきたいと思います。
《OEMの種類》
一口にOEMといっても大きく分けて【OEM】【ODM】という考え方があります。
【OEM】
製造において生産業務のみを行うことを指し、依頼する顧客側が設計・デザインなどを用意し、それを元に受託側が生産するという流れです。
【ODM】
顧客からの依頼に対して、受託側が生産業務だけでなく、設計やデザイン(ときによってはマーケティング・流通・販売なども)といった幅広い範囲での業務を行うことを指します。
ただし、これらは一般論にすぎません。
実際のところOEMとODMの違いというのは明確に色分けされているわけではなく、グラデーションになっているというのが正しいでしょう。
ODMを謳うメーカーに依頼をしたからといって、必ずしもデザインをメーカーに託さなければいけないわけではないですし、
逆にOEMメーカーでの製造だからといって開発段階で受託側の協力が全く得られないわけでもありません。
あくまでケースバイケースとなりますので、その都度メーカー側と密にコミュニケーションを図って、一番やりやすい方法を探るのが最適解でしょう。
《OEMの目的》
上段にてOEM・ODMのご説明をしましたが、以降はODMの要素も含めた広義の意味でまとめて”OEM”と表現していきたいと思います。
では、多くの企業がOEMを選ぶその目的とは何なのでしょうか。
【コスト削減】
製造にかかるすべての工程を自社で賄おうとすれば、そこにかかる費用は莫大なものとなります。
仮に自社に製造設備があり、多少の改修程度で対応出来る商品であれば費用も少ないでしょうが、全く畑違いの製品を製造するとなると新たに設備を導入するところから始める必要があります。
また、これら設備に加えて、当然光熱費や人件費も発生します。
対してOEMであれば、これらの設備は受託側の業者が持ち合わせているので上記のような巨額の初期費用を抑えることができます。
【リスク削減】
もし自社に資金力があり、今後の生産も視野にいれて生産設備を自前で用意したとします。
工場がフル稼働して生産した商品が思うように売れている状況が続けば問題ないのですが、ある時期を境に急に売り上げが落ちてきたとしたら、生産を抑える為に工場は稼働率を下げる必要が生じ、ここに大きなロスが発生します。
それとは逆に、自社工場をフル稼働しても追いつかないくらいに売上が急伸したとします。
今までの倍の数量が必要だからといって、現状の製造設備では対応できず、新たに製造設備を増設するにしても時間も足りない。
そうすると、ここでも機会損失によって大きなロスが発生します。
これに対してOEMであれば、その都度の需要に応じてOEMの受託工場に生産指示を出せばいいので、ニーズに合わせて生産数をコントロールしやすくなります。
ここまでの説明でOEMというものに対する漠然としたイメージが掴めてきたかもしれません。
最初にも記述した通り、OEM商品は日常生活の中であふれています。
次にそういった日常のOEM商品の具体例をご紹介したいと思います。
《食品》
今や毎日の生活になくてはならないコンビニエンスストア。
その棚に目を向ければ各社独自のPB(プライベートブランド)商品を展開しているのを目にする筈です。
実はこのPBも広義でのOEMの一種となります。
ここまででご説明したOEMが <メーカー⇒OEM工場⇒小売> という流れなのに対して
PBは <小売⇒OEM工場⇒小売> と、小売業者自らがOEMを委託する形態をさします。
《アパレル》
アパレルの業界でもOEMは非常にメジャーなものです。
大手アパレル企業でもOEMを活用する事例はあり、衣類のタグを確認すると”made in 〇〇”といった形で海外製のことがあります。
ある企業では、“中国、ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、カンボジア、タイ、日本”の7か国(146の縫製工場)で製品の製造を行っているそうです。
その製造を行っているのがOEMの受託工場ということになります。
企業によっては、企画を自社で行うOEM製品もあれば、企画から依頼をするODM製品もあります。
OEM製品は一貫して企画を行うので全体的に統一されたデザインイメージをもたれやすいのに対して、ODM製品は色々な受託工場で企画を行うので多様なデザインの製品が展開される可能性もあります。
OEMとODM違いが視覚的によくわかる例かもしれません。
《化粧品》
化粧品もまたOEMが主力となっている業界の一つであります。
誰もが知るような有名ブランドのデパコスから、バラエティショップや量販店で次から次へと新作が登場するプチプラ帯の商品、SNSでバズって拡がるEC発の化粧品まで、市場には数えきれない数のアイテムが溢れかえっています。
そして当然のことながら、そのどれもがどこかしらの工場で製造されています。
日本にそんなに沢山の化粧品工場があるものなのか…実は2022年3月時点の統計で、化粧品の製造販売業は4,198(日本化粧品工業会調べ)という報告が出ています。
単純計算で1都道府県あたり90社近くあると考えると、かなりな数であることがわかると思います。
お手元にある化粧品を手に取って裏面を確認してみてください。
製造販売元として、そのブランドとは別のメーカーの名前が書いてあると思います。
それこそがOEMの受託工場ということです。
また、有名ブランドの製品で裏面の製造販売元がそのブランドになっていても、実際製造を行っている工場はOEM先というケースも少なくありません。
ブランドの有名無名を問わず、日本の化粧品業界はOEMでの製造が非常に多くのウエイトを占めているのが現状です。
《ペット用品》
年々市場規模の大きくなるペット関連事業においてもOEMは活用されています。
最近ではペット用のシャンプー・トリートメントや歯磨きジェルなども種類豊富に展開されており、これらは前述の化粧品同様に化粧品OEMメーカーが受託するケースが多いです。
では次に、OEMのメリットについて委託側・受託側の視点で説明していきたいと思います。
《委託側のメリット》
・コストの大幅な軽減
前述の内容と重複してしまいますが、新規商品をゼロから立ち上げる場合、その初期投資に莫大な費用が発生してしまいます。
OEMを利用することによって、初期費用を抑えて商品を立ち上げることが可能です。
・製造数に対するリスクの軽減
こちらも前述の通りなのですが、製造設備を自社で持たない為に製造数の調整も比較的容易になります。ニーズが膨れ上がっている場合にはOEM工場をフル稼働して大量生産、落ち着いてきたらOEMの発注数を減らすといった対応も、自社工場でないから出来る強みかもしれません。
・製品の設計やデザインに資産や資源を集中できる
これは依頼者主導で行うOEMの場合に特に言えることなのですが、製造以降の工程をOEMで一任することによって、それ以前の企画・設計・デザインなどにリソースを集中的に投下することができます。
これによってよりよい商品開発を実現し、より多く発注をかけることが出来れば、依頼側・受託側双方にとって望ましいサイクルを構築することができます。
・知見や知識の蓄積
上記項目によって得た知見や知識は委託者に蓄積されていきます。
継続的に企画・設計・デザインといった行程を繰り返していくことで、より高度化されて、自社の競争力の大幅な強化が期待されます。
《受託側のメリット》
・稼働率の向上
受託側のOEMメーカーは、より多くの発注を受託することによって工場の稼働率を上げることができます。
限りある設備を最大限に活かせるように、多くの発注を上手くハンドリングして生産スケジュールを組むことが出来れば、機会損失を限りなくゼロに近づけて利益を最大化することが期待できます。
・技術力や知識向上
様々な内容の受注を対応することによって、得た知見や知識は受託側メーカーに蓄積され、製造現場での経験値・技術力の向上に繋がります。
確かな技術力知見は受託側の大きな武器となり、例えば新規営業の際にセールスポイントとして活かすことができるでしょう。
これらを継続的に繰り返すことにより、さらに熟練化して受託側にとっての大きな強みとなります。
今度は逆に、OEMのデメリットについて委託側・受託側の視点で説明していきたいと思います。
《依頼側のデメリット》
・製造工程においての収益が得られない
メリットと表裏一体ではあるのですが、製造設備を自社でなく外部に委託することになりますので、その製造工程において本来得られるべき収益というものが得られません。
・製造に関する知見や知識が蓄積されない
製造以降の行程が委託となりますので、製造に関する知見や知識といったものは委託者に蓄積されることはありません。
委託者が永続的にOEMでの製品展開を考えているようであれば問題ありませんが、もし将来的に自社で製造設備を構えるようなことを考えている場合は大きなデメリットの一つとなり得るかもしれません。
《受託側のデメリット》
・自社としてのブランドが育たない
もし受託側が、将来的に自社ブランドを展開して市場に打って出たいと考えているとするならば、OEMを数多く受託し続けることは自社ブランド育成という点ではデメリットかもしれません。
製造の前段階の企画・設計・デザインといった工程は委託側主導となりますので、どうしても自社でそういった経験を積む機会を失ってしまいます。
・生産量が安定しない
あくまで依頼者からの発注があって製造設備が稼働する状況ですので、委託側の都合一つで生産数が大幅に増減するリスクがあります。
毎月コンスタントに同じくらいの量の発注があればいいのですが、急に倍の製造の依頼がきたり、逆に発注数がゼロになったりする、そういった見通しがつきにくいという難しさもあります。
OEMの概要が大まかにつかめてきたのではないでしょうか。
それではここで、実際にOEMの依頼から商品化、納品までの流れについてご説明して参りたいと思います。
1)コンタクト
まずはOEMの受注メーカーにコンタクトをとります。
ネットで検索をしてメールで問合せを送るのが一般的ですが、時期によっては様々な業種で展示会が開かれていたりするので、そういった場に足を運んで直接話をきいてみるのも面白いかもしれません。
2)打合せ
メーカーとコンタクトがとれたら今度は打合せです。
事前に大まかでもいいので希望とする仕様やコンセプト、納期、希望販路などを伝えておくとメーカーも資料などの準備が出来、スムーズかつ充実した打合せになるでしょう。
以前はどちらかが赴いて顔を合わせて打合せするのが一般的でしたが、今ではリモートでの打合せもスタンダードになっています。
リモートミーティングにはサンプル品などを実際に目にして確認できないというデメリットもありますが、逆に遠方のメーカーとでも容易に打合せが出来る、移動時間が発生しないといったメリットもあります。
3)サンプルの作成・仕様の確定
受託メーカーは希望内容を元にサンプル品を作成します。
提出されたサンプルで問題がないようであればそのまま進行となりますし、希望と少し違うと感じられるようでしたら再試作の対応となります。
実際に触ってみて初めて気づくこともあるかもしれません。
受託メーカーは依頼者の要望に応えようとしますので、何かあれば逐次フィードバックするといいでしょう。
それと同時進行で、どのようなデザインや仕様でいくのかといった内容も詰めていき、それらを元に受託メーカーは見積りを作成します。
サンプル・見積りが確定し、依頼者がそれに納得するようであれば次の段階に入ります。
4)発注
依頼者から発注をもらい、受託者は容器や中身などの資材の調達を行います。
同時に工場の製造ラインも確保します。
5)製造
確定した仕様に基づいて、厳しく品質をチェックしながら実際に製造を行っていきます。
6)納品
製造工場で仕上がった製品を、依頼者指定の納品先に納品します。
昨今の物流業界の状況は大変逼迫しているということもあり、トラックなどでまとめて納品する場合は早めの車両手配が必要となります。
また、納期も納品先によっては中1〜2日かかる場所もあります。
そういった点も踏まえた上で、受託メーカーに詳細の希望を伝えて対応を依頼してください。
こうして無事納品された商品ですが、実際にどのような販路で販売すればいいのでしょう。
ここではその一例をご紹介いたします。
・Eコマース(EC)
Eコマースとはインターネットを介して商品やサービスを売買するビジネスモデルです。
ネットショップやインターネット通販、オンラインショッピングなどがその例となります。
もし自社でECサイトを運営しているようであれば、そこで販売するのが一番手早いでしょう。
まだECサイトを運営していないということであれば、まずはどこで販売するかを検討する必要があります。
代表的なものとしてはAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングといった”オンラインショッピングモール”や、Square・BASE・STORESなどの”ネットショップ作成サービス”などがあります。
それ以外にもSNSを活用した通販や、メルカリやPayPayフリマといったフリマサイトを利用した販売も一つの選択肢かもしれません。
・チャレンジショップ
チャレンジショップとは、新事業の展開を目指す事業者などに対して、無料または低予算で出店ができる店舗スペースを一定期間貸し出すものです。
最近では地方自治体などが地元の活性化を目指して積極的に参加を呼び掛けています。
事業者にとっては費用を押さえて店舗を展開できるというメリットが、自治体にとっては休眠状態にあった施設の有効活用と人材の活性化といったメリットがあり、双方にとって恩恵があるシステムの一つと考えられています。
・逆商談会
逆商談会とは、買い手側となる企業が商談会の会場で待機し、売り込みをかけたい企業が直接商品を売り込むという<逆見本市>形式の商談会のことを指します。
売り込みをかけたい企業は、買い手企業のブースを訪問して自社商品を直接売り込んでいきます。
原則として商談は先着順となり、商談が終われば他のブースに移動し新たな商談を行うといった流れとなります。
これらは地方の商工会議所などが主導となり開催することが多いので、一度チェックしてみるのも面白いかもしれません。
最後に、OEM商品を作りたいという依頼者側にとってどのような依頼先(OEM受託メーカー)を選ぶのがいいかをご案内したいと思います。
・作りたいものがつくれるか
自社でできないからこそOEMを活用するのであって、OEMメーカーが提案してきたものに、そのまま自社ブランドのラベルを貼って商品化するだけでは、商品化に漕ぎ着けることが出来たという達成感は得られるかもしれませんが、本末転倒ではないでしょうか。
世の中には本当に多くのOEMメーカーがあります。
それぞれ得手不得手がありますので、数社に問合せをしただけで諦めてしまうのは非常に勿体ないと思います。
とはいえ、そんなにも多くのOEMメーカー(中にはHPのないメーカーもある中で)の中から希望を叶えてくれるOEMメーカーを探すのは非常に時間と労力がかかる作業です。
そんなときに手助けになるのが【ファブレスなOEMメーカー】かもしれません。
ファブレスとは自社工場を持たないメーカーのことです。
その代わりに非常に多くの取引先の工場を抱えており、まさに希望と合致する工場を探すプロフェッショナルともいえるメーカーです。
そういったメーカーであれば日本中の工場の中から希望を叶えてくれる工場をきっとみつけてくれるはずです。
・希望のロット数で製造できるか
これは作りたい製品の種類にもよるとは思いますが、工場によって製造できる数量は様々です。
ただ、どんな製品であれ“極端な小ロット”と“極端な大ロット”は希望の価格やスケジュールに合わせることが難しくなるかもしれませんが、
どのような方法であれば希望に近づけられるか相談に応じてくれるOEMメーカーと取引することで解決策も見えてくるかもしれません。
・スケジュール通りに進められるか
OEMにおいてスケジュールは切っても切り離せない問題です。
OEMの受託工場は基本的に複数社の案件を同時進行で動いています。
資材納期が1日遅れたから生産を1日遅らせて欲しいと頼んでも、その日程には既に他社の案件が組まれており、何日もの遅延に繋がるかもしれません。
ですので、OEMでの商品製造においては無理のない確実な納期設定の下で進行するのが何より重要です。
そういった点にアラートを出してくれるOEMメーカーこそ理想かもしれません。
・さまざまな提案をしてくれるか
商品仕様の希望を出すのは依頼者かもしれませんが、受託側メーカーはこれまでに何十何百と案件をこなしているプロです。
依頼者の希望に少しでも問題があれば指摘をしてくれて、さらに改善点があれば示してくれる。
そういったODM的な対応を柔軟に行ってくれるメーカーであれば、例え依頼者がOEM初心者であったとしても、安心して様々なことを任せられることでしょう。
OEMという字面だけだと専門的で難しそうにみえるかもしれませんが、実際は新しく製品を展開したい委託側と、様々な製品を製造して稼働率を上げていきたい受託側。
その双方がお互いの長所を活かし、短所を補い合って利益を上げていく、むしろ敷居は低く、間口は広いシステムといえるかもしれません。
依頼者と受託者が上手くコミュニケーションを図れればきっと良い結果が生まれるはずです。
その為にもまずはOEMの受託メーカーの選択が大切となります。
このコラムを参考にして頂ければ、より良いパートナーを探す一助となるのではないかと思います。
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